先駆者になれ [人間探究領域 大嶋広美先生]

こんにちは!

今回は、飛翔91号の記事からです。

今回紹介するのは、総合科学科 人間探究領域 言語コミュニケーション授業科目群の、大嶋広美先生です。

大嶋先生の専門は、中国の方言です。中国語学や中国音韻学、中国方言学、言語フィールドワークについて研究されているそうです。

日本にも方言がたくさんありますが、中国の方言はどのような感じなのでしょうか?

それではどうぞ!

人のやっていないことをやる

ー先生の研究内容について教えてください。

私は中国の方言、特に中国南方の方言を中心に研究しています。文法ではなく、音韻や音声の研究です。

ー研究の魅力は何ですか?

今までわかってなかったことを、自分で調査したり研究したりして分かるのが嬉しいですね。あとは、人のやってないことをやれるのが一番嬉しいです。

ーどうして日本人に中国語を教えたいと思ったのですか?

中国語を勉強したいという気持ちが幼少期のころから既にありました。大学院で中国語を研究したいと思い、結果中国語を教える職に就きました。

ー中国語を教える時に気を付けていることは?

特に気を付けていることは、声調ですが、声調を教える時はリズムも教えています。一文字一文字発音するのではなく、句レベルで発音してもらい、強弱もつけて教えています。特に発音に重点を置いています。

ー中国に初めて行かれたのはいつになるんですか?

1988年です。大学生の時でした。

ーその時のことを聞かせてください。

小さいころから憧れていた国でしたが、初めて中国に来たときは幻滅しました。当時中国はまだ顧客にサービスするという観念がなく、ホテルの部屋が空いていても部屋がないといい、従業員同士おしゃべりをして全然働かない。働こうが働かまいが、給料は同じだからです。給料は国からもらっているので、部屋が空いても働きたくないから”没有”(「ない」)と答える。あの時は辛くて不愉快な思いをしましたが、日本に戻りしばらくするとまた中国に行きたいなっていう気持ちになった。二度と行きたくないとはならなかった。何か惹かれるところがあるんでしょうね。それで、また行く。多分、中国の人が温かいっていうのと中国語を勉強・研究しているっていうことと関係があるからかもしれません。

ー留学されていましたが、利点は何かありますか?

利点はやはり、日本とは違う習慣、文化を知ることでしょうね。それは中国とは限りませんけれど、海外は日本とはかなり違うということを体験して知ることが、やはり大事ですね。最近の若い人たちはあまり海外に行きたがらないようですが、是非行ってもらいたいです。別に危険なところに行く必要はありません。大学生の皆さんは、時間があったら是非。本では学べない実体験をしてもらいたいですね。

ー中国の好きな場所はどこですか?

広東省の広州ですね。そこが一番好きで、第二の故郷といった感じです。旅行だったら、成都が好きです。とても街がきれいで、時間がゆったり流れて、風景もきれいで、治安もとてもよかったです。

ー中国と日本で一番違うなと思ったことは何ですか?

人でしょうね、人の考え方。中国の方はやりたいことをすぐやる、要するに本当にまっしぐらといった感じです。そして積極的。日本人は地道にコツコツと耐えながら細かくやっていく方が多いように思えます。人の性格がかなり違うと思います。

ーこれから中国語を専攻する学生のために、おすすめの勉強法を教えてください。

間違いを恐れず、間違ってもいいから、興味のあることを積極的に勉強してください。将来もし研究者になるならば、先駆者になってもらいたいですね。誰もやってない、誰も目に付けていないことを、自分で切り開いてもらいたいです。先駆者が残した研究は後に往々にして反駁を受けることが多いですが、間違っていても、その研究分野に貢献できることになります。

ー広島大学の良さは何ですか?

学生の皆さんにとってはどうかは分かりませんが、娯楽が少ないので勉強に集中しやすいことだと思います。余計なものが周りにないことがいい。本も必要なものは図書館に揃っていますし、勉強しやすい環境にある。そこが良いところだと思います。

ー総合科学部についてどう思いますか?

ほかの先生方もおっしゃっていますが、文系・理系が分け隔てなく勉強できるのがいいですね。言語学は哲学に入るのですが、私が言語学を勉強した時、ある先生から、物理も勉強するよう勧められました。言語学に偏らず、理系の勉強も大事なのかなと思いましたが、物理は考え方が役に立ちました。法則とか論理性とか。

ー最後に、学生に一言お願いします。

興味のあることをどんどん勉強して吸収してください。社会人になると勉強する機会や時間はなかなかありません。社会であろうと学問であろうと、ぜひ先駆者になってほしいです。

まとめ

第一印象で幻滅したのに惹かれてしまう、とても不思議ですが、中国はそれだけ魅力にあふれた国なんですね。

また、「先駆者になってほしい」という言葉は、「ひとのやっていないことをやるのが嬉しい」という言葉に通じているように感じました。

それでは今回の記事はここまでです!

次回の更新もお楽しみに!