広告業はサービス業!【OBOGセミナー 畑尾武海さん】

こんにちは!

今日は、7月5日に行われた第3回OB・OGセミナーのお話です。
更新が遅くなり申し訳ありません…

OB・OGセミナーは総合科学部を卒業したOBOGの方々が現在の仕事や生き方について総合科学部生にお話ししてくださるセミナーで、総合科学部同窓会の方々によって開催されております。

今回お話をしてくださったOBは広告会社で長年、営業職だった畑尾武海さん。

1979年に広島大学総合科学部に入学した総科の大先輩です!大学時代は文化人類学のゼミに所属しておられました。さらに、学部内のイベントの企画運営も行なっていたとのことです。

広告会社は『広告代理店』とも呼ばれ、畑尾さんがこれまで、東京本社、大阪支社、広島で担当された得意先は、行政からメーカー、エネルギー、金融、流通、情報など実に様々なジャンルに渡ります。

広告業ってなあに?今回は畑尾さんによって広告業のあれこれについて迫ることができ、そのお話をまとめさせていただきました。それではどうぞ!

広告業の仕事って?

そもそも広告とは?

 みなさんの周りにも、普段からたくさんの広告があふれていると思います。
TVCMやチラシ、ポスター、電車の中吊り広告、新聞、雑誌、看板、最近ではSNSで流れてくる投稿のようなものや、動画の広告などもありますね。無意識のうちにも毎日数多くの『広告』を目にしていると思います。
でもそもそも広告ってなんなんでしょうか?

畑尾さんによれば広告とは、『商品やサービスを情報によって知らしめ、購入・利用してもらうための手段』とのこと。

販売を促進するプロモーション戦略には
広告AD:アドバタイジング)
  …テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・屋外、インターネットなどの広告
販売戦略SP:セールスプロモーション)
  …販売促進イベント・キャンペーン・ポスター・POPなど
広報PR:パブリックリレーション)
  …記事、ニュース、広報イベント
などがあり、広告会社はニーズや状況に応じてこれらの様々な広告サービスを作成、提供しています。

広告会社の仕組み

広告会社・広告代理店は広告主(クライアント)から依頼を受けたらその依頼に応じて様々な形の広告を制作会社と作成します。そして制作会社や企画会社・メディアに依頼してターゲットとなる生活者へサービスや商品の情報を伝え、購買・利用意欲を促進します。また、調査会社に依頼して効果の測定を行うこともしているそうです。

広告会社の中にも営業、制作、マーケティング、媒体(メディアとの交渉などを行う)など様々な部門があり、チームで動いて広告作成を行なっています。チームワークが非常に重要な業界だそうです!

畑尾さんはその中でも営業という部門に所属してきました。 会社を代表して広告主と向かい合う、 広告業務のチーム全体のプロデューサーのような役割だそうです!

広告に大切なものとは?

広告を考える上では『誰に』のターゲット・『何を・どのように』のコンセプト・『どのような位置付けで』のポジショニング の3要素を考えることが非常に重要だそうです。
特にターゲティングが大切!ただ漠然と『みんなに届けよう』とするのではなく、『20代女性』『大学生』などとターゲットを特定しなければいけません。

確かに『みんなみてくださ〜い!』と言われるより、『大学生のみなさんみてください!』『主婦必見!』『働くビジネスマンに!』などと言われた方が興味がわきますよね。

ターゲットを明確に特定して、その受け手が見たい、聞きたい情報を届ける、つまり受け手視点で考えることが大切だそうです。
受け手、と一口で言っても、大学生一人を見ても、納税者・消費者・学生・市民…など様々な側面を持っています。そのため『消費者』という一側面から見るのではなく、『生活者』として顧客全体を捉える発想が必要です。
その上で、この広告は生活者にとってわかりやすいか?受け手の都合を考えず自己満足になっていないか?など、サービスや商品を生活者の視点から冷静に見て考えることが必要となります。

また、それらを効果的に伝えるためには、スローガンやキャッチコピーをどうするか、どのキャラクターやタレントを起用するか、CMソングや表現技法をどうするか、などと言った表現戦略と、どんなメディアを通すか、などと言った媒体戦略の2つが広告戦略の鍵を握っています。

広告の変化と広告業の未来

畑尾さんは近年のメディア事情についてもお話ししてくださいました。

 以前まではTVや新聞がメディアの中では台頭しておりましたが、現在はTVはタイムシフト視聴やアプリでの視聴がされたり、チャンネルが増えたことで1チャンネルあたりの視聴率が減っています。さらにネットテレビも出てきたりして、TV自体から離れる人も増えています。また、新聞や雑誌を読む人も減っていますね。
それらに変わってインターネット・デジタル媒体が急激に普及しています。様々なSNS、電子書籍やデジタルコミックが普及。ビッグデータの利用によって大量の個人データが集まるようにもなりました。

メディアの変化によって
・情報量が莫大にふえるリッチコンテンツ化
・いつでもどこでも情報に触れられるユビキタス化
・受け手からも双方向で商法発信できるインタラクディブ化
が進んでいます。

さらに生活者側の変化もあります。少子高齢化によるターゲットの変化、若者の紙離れ、デジタル化…
ツイッターやインスタ、youtubeなどで情報発信を好む人も増えています。

現在広告を取り巻く環境は大きな局面を迎えていて、そのため、広告の手口も変容しています。

 最近はより良い情報伝達のためにインターネットを効果的に使った広告も増えていますね。SNS上に投稿にそっくりな広告が紛れていたり。オンラインショッピングでは個々の消費者のニーズに沿った商品が紹介されたりしています。このように、過去の履歴など様々なビッグデータを利用したりすることなどによって個人にピンポイントで情報の伝達をするようにもなりました。

さらに現在はSNSなどで受け手も情報を発信できるようになっています。そのため、生活者をただ受け手の立場とする『to コンシューマー』から、生活者も企業と対等の立場で能動的に情報発信しブランドを作っていく『with コンシューマー』の発想に変化しています。

また、企業の利益を求めるだけでなく社会貢献に焦点を置いたり、参加型のイベントを作る、告知するだけでなく生活者に体験や共感をしてもらう、とい という手法を使ったりもしています。

 これらのことから、従来の説得型の広告から生活者の心を動かし共感してもらうことで主体的な体験や行動を生み出す広告が重要だと考えられるようになってきました。

そして、広告でただ商品の魅力を訴求するだけでなく、環境問題や防災、平和、ワーク・ライフ・バランスなどのような社会問題を広告やマーケティングの手法で解決することも始まっています。

広告業に向いている人

 それでは、現在広告業ではどんな人が求められているのでしょうか。

広告は他のメディアのような『報道』とは異なり、クライアントありきの『サービス業』であると畑尾さんはおっしゃいました。

よって広告業に向いているのは次のような人だそうです。

  1. サービス精神が旺盛な人
  2. クリエイティブでありたい人
  3. 柔軟性があり、その場その場の対応ができる人
  4. 自分の仕事や専門領域を超えて幅広く知的好奇心が強い人
  5. 立ち直りの早い人
  6. 同時に全く違うことができる人

特に4番の知的好奇心は非常に重要!
最初に書いたように、広告業界が扱う仕事は非常に多岐に渡ります。そのため、学んだこと、経験したこと何が広告業に役にたつかわからないそうです。

畑尾さんご自身も、子供の頃は天文学が好きで、その後SFに興味を持ち、 アナウンサーになりたかったり 大学時代は文化人類学を専攻する…など非常に幅広く興味を持っていらっしゃったそう。一見脈略はないように見えますが、それらは直接的・間接的に様々な形で今も仕事に生きているようです。

畑尾さんは「広告業は一年中『大学祭実行委員会』をやっているようなものです。クリエイティブなものが好きか?イベントが好きか?自分で企画実行したいか?そう思った人には広告業界に向いていると思います。
広告の営業を通して色々な仕事ができて、あらゆるメディアを相手にできた、今でも映像制作やイベントの企画や実施は楽しいし、新しいことや面白いことを考えるのは好き。それができたのは広告会社しかなかった。」と話してくださいました。

自分で何かを考え、それを企画実行することが好きで、たくさんのことに興味関心がある人に、広告業界は向いているんだと思います。

畑尾さんにインタビュー

最後に、飛翔から畑尾さんに少しだけインタビューをさせていただきました!

Q1:大学時代にやっておいてよかったことって何ですか?

 A:大学時代には、学部のイベントの企画・運営ばかりやっていました。当時の総合科学部では学生が企画・運営して学部の新歓コンパ、春・秋のソフトボール大会、卒業祝賀パーティーを開催してたんです。また、総科の同級生で参加した6月祭(現:ゆかたまつり)、大学祭(市中パレードも)、フェロー合宿まであったオリエンテーションキャンプ…。1年を通してたくさんイベントがあって、そんなんばっかりやってた。結局そういう会社に入っちゃったなあって。あと、本をめちゃくちゃ読んでたよ。多い時で1日3冊とか。もし当時大きい古本屋とかあったらもっと読んでいただろうなあ。

Q2:アイデアが浮かばない時ってどうしますか?

 A:一人で考えるより、みんなでわいわいやっていると、触発されてアイデアが浮かぶんだよね。チームでそれぞれみんなが持っているものを持ち寄って、誰かのアイデアを聞いて「それいいじゃん!」ってそこから膨らんだりとかね。イベントなんていうのは一人で考えるものじゃないから、いろんな人のアイデアが集まってできてる。営業はそのプロデューサーなので面白いとこではあるよね。

Q3:最後に総科生へのメッセージをお願いします

 A:本や、新聞、雑誌、映画… あらゆるメディアに接触して、読んで、観て、吸収してください

まとめ

普段何気なく見ている数々の広告。その裏側の世界を今回伺ってきました。

ネット社会が広がっている中で、広告も今後様々な形に変化していくでしょう。でもそんな中でも、ターゲットとなる受け手の視点で考え、常に新しくクリエイティブなものを作り出し、生活者につたえていくという広告にとって大切なものはきっと同じですね。広告業はサービス業!と、いうことを知ることができました。

そして、このOB・OGセミナーの記事を通して総科の卒業生はこんな仕事をしている人もいらっしゃるんだ!と知っていただければ幸いです。

今後もOB・OGセミナーはありますので、また総科の大先輩についてお伝えできたらなと思います。

それでは今回はここまでです!

次回の更新もお楽しみに!

(文責:If.)